2023.12.23 土曜日

医師が考える日本でのアーユルベーダの活用法について(アーユルヴェーダビューティーカレッジ認定資格講座2023卒業生)

医師が現場で生かすアーユルベーダ資格の活用法について

アーユルヴェーダビューティーカレッジは、インドアーユルヴェーダ病院、インド医学大学SDUAHERとの連携で授業を行っております。

沢山の医師や医療従事者の方が受講されています。

今年2023年12月にご卒業の医師の受講生によるアーユルベーダ活用法の見解について、卒業試験でご提出いただきました小論文を、ご本人の了解を得て、シェアさせていただきます。

下村一之氏

(認定資格コース受講/1年間プログラム)

帝京大学  医学部 准教授

東都大学 特任教授

医師(MD

東京大学博士(医学)(PhD

 

日本には世界に先駆けて超高齢者社会が到来し、最近生まれた赤ちゃんは、平均寿命が100歳を超えるという予想があるらしい。しかし、今の日本を支えている40歳以降の働き世代は、昭和の時代に思春期を過ごし、高度経済成長も経験して、心身とも無理を積み重ねた状態で今に至っている。

 したがって、今頑張って働き続けている昭和世代、平成世代の方々の残りの人生(余命)は、決して100歳までもたないということができる。人生100年時代というのは、実際には今の中高年世代にはあてはまらないのである。

 しかも、寿命を迎えるまでの期間のうち、健康でいられる時期は、現在の日本でも決して長くはなく、寿命と健康寿命の差である人生終末時期の病気の期間は9年(男性)から、12年(女性)であり、ついに寝たきりになったあとの寝たきりの期間(つまり、死ぬまでの期間)は、2週間以内が3%しかいなくて、5年以上が約50%とされている。

 このことから、今の中高年世代は、912年の長い患い期間を経過して、そのうち5年程度の寝たきり期間を過ごしてついに死に至るというモデルの上に、放置されたまま乗っかっている、と言うこともできる。言い換えれば、最新の医療機器や医学の進歩というものは、若くて回復力のある方に主に使われているのであり、中高年、特に60歳以降のリタイア世代は、膝が痛くても、腰が痛くても、記憶力や認知の力が衰えてきたとしても、かなりの部分が、「年のせい」という理由で、正面からは医療の恩恵にあずかれていない、ともいえると思う。

 そもそも日本の西洋医療は、つらい症状があっても自力で病院に来て、長い待ち時間ののちに、はじめて診察を受けることができるシステムである。つまり、病気であっても、病院に来る元気さえない場合には、西洋医療にはなかなかあずかれないことになる。その理由は、医師は病院の中にいて、患者が病院にくる仕組みだからである(一部の訪問診療は除く)。

 それでは、今後、増え続ける高齢者に必要なものは何か、というと、患者さん自身が病院に来た時だけ医師に助けてもらうというのではなく、患者さん自身が、医師の指導のもと、自分の身体に対する理解を深めて、病気のときのみならず、症状のないときにも、日々自分の身体の調子を知り、不足するものを自覚して、正常な状態に近づけていける、生活上の人生哲学であると考えている。

  アーユルヴェーダは、まさにその役割を担える健康哲学であり、日々の生活の中で医療を実践できる考え方であると思う。

 そこで私は、自分の医師という職業を、病院内で患者を治すだけの仕事ではなく、患者が家に帰った後でも実践できる健康哲学を、患者に伝える「説明する先生」となることで、今後の社会貢献をしたいと考えている。

 体調の不良の原因を、毎日の生活の過ごし方から、アーユルヴェーダの考え方を応用して説明し、病気に至る因果の流れを、その一番の上流の不適切な生活習慣という観点から改善することによって、患者さんの意識を高めて健康管理をしてもらい、医療機関にはその結果を定期的にチェックするという感覚で来てもらうという方式である。

 しかし、「説明先生」の仕事自体は、現状では残念なことに診療報酬の対象になっていない。ただでさえ忙しい病院のドクターは、自分の医療機関で健診を受けた患者さんでも、説明をせずに結果を郵送するだけであることも多い。質問されても、十分な時間をかけることもできない。したがって、そのためには、医療行為の考え方を変えて、説明するのが主体の診療を進めていくことが必要だと考えている。

 私の計画では、月に10人~20人程度のメンバーを募って、定期的に面談し、アーユルヴェーダの知識を応用した自然の流れに沿った生活について、十分な時間(おおむね30分以上のカウンセリング)をかけて説明を行うことで、患者さんご自身の理解を深め、つらい症状が時間とともに次第に減少していくような、会員制サロン形式のメディカルクラブがよいのではないかと考えている。

 もし、この「説明先生」の数が次第に増えて、健康維持が、患者さん自身である程度行えるようになったなら、医療費の削減につながり、保健点数制度のうえでも、「説明先生」の仕事が評価される(説明することに、診療報酬の点数が付与される)ようになるのではないかと考えている。

 

アーユルベーダ対談

下村一之さんとアーユルヴェーダビューティーカレッジ学長の新倉で、現代医学や日本の社会に生かすアーユルヴェーダについての対談をズームオンラインで行います

1/11日(木)19:00〜20:00

対談セミナー

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参加費無料で、聴講ご希望の方は以下までご連絡ください

 

アーユルヴェーダビューティーカレッジでは、医師、看護師、助産師、薬剤師、介護士、セラピストなど様々な専門家の方に現場ですぐに活用できる知識、または、技術を持って開業される方へのプログラムやサポートを行っています

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